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ペルソナとは?
もともとはラテン語の「persona」から、古典劇で役者が使用する仮面のことをペルソナと言っていました。
そこから派生し、心理学者のユングが「人間の外的側面」をペルソナと呼ぶようになり、現在マーケティングで広く使われるような意味を持つようになりました。
それでは、STP+4P分析における「ペルソナ」とはどのような意味なのかというと、商品やサービスの典型的で象徴的なユーザー像のことを指します。
氏名・年齢・性別・住んでいる地域・家族構成などの基本的な項目から、職業・役職・年収などの働いている環境、趣味・価値観・ライフスタイルなどのプライベートな部分まで詳細に設定し、実在する人物のように仮説することで、戦略の方向性や具体的な施策を立てやすくなるのです。
ちなみに、混同されがちな「ターゲット」との違いですが、ペルソナは上記のように具体的に細かいユーザーモデルを設定するのに対して、ターゲットは「30代女性」「50代の管理職」などの年代や性別などで幅を持たせたユーザー層を設定するので、人物像の設定の深さが異なります。
ペルソナとターゲットの違い
ちなみに、マーケティング関連の用語の中に、ペルソナと似た言葉として「ターゲット」というものがあります。実は、混同してしまっているという方も多いのではないでしょうか。
商品・サービスのユーザー像を考えるという点ではターゲットもペルソナも同じですが、人物像の設定をどれだけ深くするかが異なります。「ターゲット」よりも「ペルソナ」の方が、より深く詳細に人物像を設定するのです。
ペルソナは上記のように具体的に細かいユーザーモデルを設定するのに対して、ターゲットは「30代女性」「50代の管理職」などの年代や性別などで幅を持たせたユーザー層を設定するので、人物像の設定の深さが異なります。
ペルソナの作り方
実際にペルソナの作り方を4つのフェーズで見てみましょう。
1.自社分析
まず、具体的なペルソナを設定する前に、自社の強み・弱み、市場の動向などを理解することが重要です。
そのために、自社の分析から始めると良いでしょう。
おすすめなのは「Customer:市場・顧客」「Competitor:競合」「Company:自社」の3つの視点から分析をする3C分析というフレームワーク。
3Cについて把握しておくことで、自社商材についても理解が深まったり発見につながったりします。
2.ペルソナ作成項目を考える
ペルソナは、ターゲット層よりも更に詳細な人物像を作ることで、どのようにアプローチすると効果的かが見えてきます。
そのため、ペルソナ設定のための項目は詳細に作りこみましょう。
一例として、ペルソナ設定項目を挙げてみます。
・基本情報(氏名、年齢、性別、居住地、出身地、血液型、誕生日など)
・学歴、職歴
・現在の職業(業界、業種、職種、役職、年収など)
・家族構成(独身or既婚、子どもの有無など)
・ライフスタイル(起床時間、就寝時間、通勤時間、日々の食生活、休日の過ごし方など)
・趣味(インドアorアウトドア、好きな音楽、好きな雑誌、好きな映画など)
・性格(価値観、目標など)
・インターネット利用状況(使っているデバイス、日々の利用時間、利用しているSNS、よく見るサイトなど)
「細かすぎるのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、これらの詳しい項目を設定することで、自社商材のユーザーがどんなことに困っているのか、どんな情報を欲しがっているのかなどを明確に仮説立てられるようになります。
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ペルソナを設定する際の参考にしてみてください!
3.具体的にペルソナを作る
先ほどの項目を埋めていく作業に入ります。
しかし、やみくもに設定しても的外れなものになってしまうため、データを活用することをおすすめします。
データの集め方は「WEBアンケート調査」「街頭インタビュー」「既存調査結果の活用」「WEBアクセス解析」「競合他社調査」などがあるので、データを収集して人物像を分析していきましょう。
4.PDCA
ビジネスにおいて重要なPDCAは、ペルソナの設定でも実行しましょう。
一度ペルソナを設定したらそれで終わりではなく、そもそも設定したペルソナ自体が間違っている場合があるため、定期的に見直さなければいけません。
実際のユーザーとペルソナの乖離はないか見直したり、新しく発見できたユーザー項目を足していったりして、ペルソナを更に具体的にしていきましょう。
ペルソナを設定する時のメリットと注意点
ペルソナとはどういうものなのかを理解できたかと思います。
それでは、そもそもなぜペルソナを設定する必要があるのか、そしてペルソナ設定の際にはどのようなポイントに注意しなければいけないのかを確認しましょう。
ペルソナを設定する3つのメリット
Ⅰ.ユーザーのニーズを理解できる
典型的なユーザー像を徹底的に分析することにより、ユーザーのニーズを深く理解することができ、どのようにアプローチするとユーザーの心に響くのかを把握することができます。
曖昧だったユーザー層が、具体的な人物像に変わることで、「いつ」「何を」「どのように」アプローチするべきなのかが明確になります。
Ⅱ.ターゲットとなる顧客像を組織内で統一することができる
関係者の間でターゲットの人物像の認識がズレてしまっていると、意見の食い違いから戦略が決まらなかったり、無駄な作業が発生したりして、スケジュールの遅れなどのトラブルが起こりやすくなります。
しかし、ペルソナという共通認識があることで、そのようなトラブルを回避することができるのです。
更に、社外のパートナー企業などとビジネスを進めていく場合も、ペルソナを社内外で統一しておくことでより効果的な施策を打ち出すことができるでしょう。
Ⅲ.サービスのコンセプトが固まる
ペルソナを設定することによってマーケティング戦略の方向性も決まってきます。
ペルソナを通してコンセプトが固まることにより、業務内容の意味や意義、目標を定めやすくなります。
ペルソナを設定するときの注意点
Ⅰ.デモグラフィックだけでなくサイコグラフィックも考える
より具体的な顧客像を洗い出すために、デモグラフィックだけでなくサイコグラフィックも分析しましょう。
「デモグラフィック」とは年齢・居住地・職業・家族構成などの定量的な属性情報で、「サイコグラフィック」は性格・ライフスタイル・趣味などの心理的な特性のことです。
デモグラフィックはある程度のデータがあれば設定することが可能ですが、そこからはサイコグラフィックは見えてこないため、サイコグラフィックを設定するためにはより詳細なアンケートやインタビューなどを実施する必要があるのでサイコグラフィック分析にはリソースがかかります。
Ⅱ.新規顧客の目線にたつ
自社商材をよく利用している既存顧客にペルソナを寄せてしまうと、潜在的にニーズを持っている新規顧客の人物像とズレてしまう可能性があります。
既存顧客の囲い込みも重要ですが、より販路を広げるためには新規顧客の獲得は欠かせないものなので、新規顧客の目線も持ちながらペルソナを設定しましょう。
Ⅲ.一度設定したペルソナを何度も再考する
先述の通り、ペルソナを一度設定して終わるのではなく、何度も見直して再考していきましょう。
消費環境の変化によって、ユーザーの消費活動も日々変わってきます。
「現在設定しているペルソナと、実際の消費者はかけ離れていないか」と再考を続け、柔軟にペルソナを設定していくことがポイントです。
まとめ
マーケティング活動に重要なペルソナ。
今までターゲット層でしか把握していなかったユーザーがより鮮明になることで、効果的なマーケティング施策を効率的に行うことができるようになります。
「ペルソナの作り方」を参考に実際に設定することで、今まで見えなかった事実が見えてくるかもしれません。
ペルソナを活用して、より効果的なマーケティング施策やセールスプロモーションを実施していきましょう!